2013年06月26日

家族の絆をつむぐ本-継伝-

最愛の人


70代のおばあさんの継伝を作らせて頂いた時の話


おばあさんは小学2年生でお母さんを結核で亡くし、5年生でお父さんを
兵隊にとられ亡くされました。

その後はおばあさんに育てられ、中学を卒業してから今まで家業の農業一筋で
暮らしてきたのでした。

私がインタビューさせて頂く時にはベッドに横たわりながら喋られました。

五年前に最愛のご主人を亡くされたのと同時に体調を崩し、それからずっと
病気がちだったからです。
ご主人は若い頃は本当に男前で、仕事もきちんとし、家族も大事にする
言うことない夫だったようです。

継伝に載せる写真を探す段になった時、おばあさんからも娘さんからも
「昔の写真はもう探せない」
と言われました。
「蔵のどこかにはあるはずだけど、ごちゃごちゃしてどこにあるか分からず探しようがない」
との事でした。

『せっかくなので若かりし頃の写真やご家族の写真をなんとか載せさせて頂きたい』
私はそう思い、
「次回お伺いした時に自分が探すので、蔵に入らせてください」
と娘さんにお願いしておいたのでした。

そして後日伺ってみると、どうしたことか娘さんがたくさんの昔の写真を
手にしておられました。
なんと娘さんが蔵を探してくださったのです。
思ってもみない洋服の収納ケースの底の方から封筒に入って出てきたとの事でした。

掲載写真を選んでいると、ちょうどおばあさんが施設から戻ってこられました。
誰の写真か分からないものもたくさんあったので、おばあさんに写真を見てもらう
ことなり、おばあさんと娘さんとお孫さんと私とで一緒に写真を見ながら話をしました。

おばあさんは十数年ぶりに見るご主人の若かりし頃の写真、早くに亡くなった
お母さんやお父さんの写真、自分の子供の時の写真などをとても懐かしんで、
嬉しそうに眺めていました。

原稿も写真も揃い、いよいよ製本を発注することになりました。

その発注をかけている最中におばあさんは脳卒中で倒れてしまったのです。

本が出来上がったとき、おばあさんはもう見ても理解できない状態でした。
しゃべることもできなくなってしまったのです。



娘さんはこうおっしゃられました。

「母に完成した本を見せてあげることができなかったのは本当に残念です。
でもそうなる前にご先祖さまに触れることができ、母の思い出ができたことに
本当に感謝しています」


DSC02719.JPG



posted by 細田次郎 at 22:53 | Comment(1) | 継伝 こぼれ話
この記事へのコメント
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Posted by カシオ カシオ カシオ at 2013年08月03日 13:21
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